2024年3月26日 / お役立ち情報 交通事故、労災と自動車保険の関係
交通事故、労災と自動車保険の併用は可能?
交通事故にあった場合、自賠責や任意保険を使うのが一般的ですよね。
しかし、「配送の仕事で運転中に追突されてむちうちになった」、「自転車で通勤していたところ左折巻き込みで車と衝突して骨折した」など、業務中や通勤中、仕事帰りに起こった交通事故の場合、労災保険を選択することも可能です。
労災保険と自動車保険双方からお金を受け取っていいのだろうか?と思う方もいらっしゃいます。
労災保険と自動車保険を併用した場合、受け取れる金額はどうなるのか、どのようなメリットがあるのかについて、解説していきます。
労災と自動車保険両方使うメリットは?
メリット① 過失相殺による減額をカバーできる可能性がある
自動車保険からの賠償金には過失割合が適用され、その結果金額が大幅に減ってしまう可能性があります。
しかしこの過失割合は、労災保険の補償額には適用されないため、過失割合によって減額された部分を労災保険で補える場合があるのです。
具体的な数字で見てみましょう。
過失割合が50:50になった場合を考えます。
重複項目の金額
自動車保険 |
労災保険 |
|
過失相殺前 |
100万円 |
70万円 |
過失相殺後 |
50万円 |
70万円 |
この場合自動車保険のみ利用していなかったら重複項目は50万円しか受け取れません。
しかし、労災保険も利用していれば、金額の高い労災保険の金額70万円を採用され金額調整が行われ、受け取ることができるのです。
メリット② 受け取れる項目数におけるメリット
自動車保険のみ補償(慰謝料等)、労災保険のみ補償(特別支給金や障害年金等)を受けられる
労災保険と自動車保険を併用する場合、重複しない項目はそれぞれ通常通り請求できます。
- 自動車保険のみ利用→1・2のみ受け取れる
- 労災保険のみ利用→2・3のみ受け取れる
- 労災保険と自動車保険を併用→1・2・3を受け取れる
ということになるのです。
併用した際に受け取れる項目
1 |
自動車保険のみの項目(入通院の慰謝料等) |
2 |
重複する項目 |
3 |
労災保険のみの項目(特別支給金、障害年金等) |
したがって、どちらか一方のみから補償を受ける場合よりも、併用した場合の方が受け取れる金額の総額も増えるということです。
メリット③ 併用の結果、高い方の金額を受け取れる
労災保険と自動車保険双方から補償を受ける時には、二重取りにならないように金額の調整が行われます。
その方法の具体的な例を見てみましょう。
金額調整の例
▽労災保険による障害補償給付:54万円
▽自動車保険からの後遺障害逸失利益:75万円
▽両者の差額:21万円
この場合、双方から満額ずつ受け取ると、54万円を二重取りすることになる。
そのため、以下のように金額調整が行われる。
▼労災保険から先に54万円受け取っていた
→自動車保険から差額分の21万円を受け取れる
▼自動車保険から先に75万円受け取った
→労災保険から追加の金額は受け取れない
上記の例からもわかる通り、労災と自動車保険のうち高い方の金額を受け取れるということが分かります。
いかがでしたでしょうか
交通事故で使う保険は、自賠責・任意保険を使う方が一般的です。
しかし、状況に合わせて労災を併用する事も可能です。労災と自賠責・任意保険のどちらを使うべきか迷ったら、是非ご相談ください。