2025年5月1日 / お役立ち情報 金融機関が得をするとお客様が損をする?
金融機関が得をするとお客様が損をする?――仕組みと現実を読み解く
はじめに
「金融機関が儲かるということは、私たち利用者が損をしているのでは?」そんな疑問を抱いたことがある人は少なくないかもしれません。銀行、証券会社、保険会社などの金融機関は、私たちの資産や生活に関わる多くのサービスを提供していますが、時には「よく分からない手数料を取られている」「勧められた商品が思ったほど利益を出さなかった」という経験から、金融機関に対する不信感を持つ人もいます。
果たして本当に、「金融機関が得をする=お客様が損をする」という構図が成り立つのでしょうか? 本稿では、この疑問について、金融機関のビジネスモデルや商品設計の仕組み、そして顧客との関係性を踏まえて考察します。
金融機関のビジネスモデル
まず、金融機関がどのように利益を上げているのかを理解することが重要です。代表的な収益源は以下の3つです。
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利ざや収益(銀行)
銀行は、預金者から低い金利でお金を集め、それを高い金利で貸し出すことによって「利ざや(スプレッド)」を得ています。例えば、預金者に0.001%の利息を払い、企業に1%で貸し出す場合、その差分が銀行の利益になります。 -
手数料収益(証券会社・保険会社など)
株式や投資信託、保険商品などを販売する際に、顧客から受け取る販売手数料や運用手数料、信託報酬などが主な収益です。 -
資産運用益(自己勘定取引)
一部の金融機関では、自社で株式や債券、為替などに投資を行い、運用益を得ることも収益源の一つです。
このように、金融機関は「お金の仲介役」として、手数料や利ざやを通じて利益を得ています。
利益と顧客満足は相反するのか?
では、金融機関が利益を上げるほど、顧客が損をするのでしょうか? ここで大事なのは、「利益」と「顧客の損得」が必ずしもトレードオフ(二律背反)ではないという点です。
たとえば、銀行が企業に融資を行って利益を得たとしても、その資金で企業が成長し、雇用が生まれ、経済が活性化すれば、社会全体にとってプラスとなります。顧客である企業や地域社会も恩恵を受けるのです。
また、投資信託などの金融商品も、金融機関が一定の手数料を得る代わりに、顧客に資産運用の機会を提供しています。うまく運用されれば、顧客も利益を得ることができます。
しかし、問題は「金融機関が利益を得るために、顧客の利益を犠牲にしている場合」です。以下でいくつかの実例を紹介しましょう。
利益優先による問題の実例
1. 高コストな投資信託の販売
投資信託には、購入時手数料、信託報酬(運用期間中にかかる手数料)、信託財産留保額など、さまざまな費用がかかります。中には、「販売手数料3%」「信託報酬1.5%」といった高コストな商品が存在します。これらの商品を積極的に販売する理由は、販売側(証券会社や銀行)にとって手数料収入が大きいからです。
一方で、顧客は手数料負担が大きく、運用益を出すのが難しくなることがあります。結果的に、「売る側が儲かるが、買った側は損をする」という構図になりがちです。
2. ノルマ重視の保険販売
保険営業では、一定の契約数や売上額のノルマが課されることがあります。そのため、一部の営業担当者は「本当に顧客にとって必要な保険」ではなく、「自分が売りやすい保険」「高い手数料がつく保険」を優先して勧めてしまうケースがあります。
特に、外貨建て保険や変額保険などは、リスクが高く仕組みが複雑にもかかわらず、「利回りがいい」「将来安心」といった表現で販売されることがあり、トラブルの原因となっています。
3. 預金の金利と貸出金利のギャップ
預金者に対して非常に低い金利(ほぼゼロ)しか提供しない一方で、個人ローンやカードローンでは年率10%以上の金利が設定されている場合もあります。このように、低金利の預金を集め、高金利で貸し出す構造によって、銀行は大きな利ざやを得ます。
もちろん、この利ざやは銀行の健全な経営に必要ですが、預金者にとっては「お金を預けてもほとんど増えない」状況が続き、不満につながります。
顧客本位の姿勢が求められる
こうした課題に対して、近年では「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)」という考え方が注目されています。これは、金融機関が顧客の最善の利益を第一に考えて行動するべきという倫理原則です。
金融庁も「顧客本位の業務運営に関する原則」を打ち出し、各金融機関に対して、販売手数料の透明化、利益相反の開示、営業方針の見直しなどを求めています。
また、インターネット証券やロボアドバイザー、フィンテック企業など、新しいプレイヤーは、低コスト・透明性・中立性を武器に、従来の金融機関に対する選択肢を提供しています。
利用者としての私たちにできること
金融機関が利益を上げること自体が悪いわけではありません。問題は「その利益の裏で、顧客が不利益を被っているかどうか」です。そのためにも、私たち利用者自身が以下のような行動を心がけることが大切です。
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商品の手数料・リスク構造をしっかり確認する
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「勧められたから」ではなく、自分で納得して選ぶ
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複数の金融機関を比較し、信頼できるパートナーを選ぶ
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不明点は遠慮せず質問し、説明責任を求める
情報を正しく得て判断する力、いわゆる「金融リテラシー」がますます重要となる時代です。
おわりに
「金融機関が得をするとお客様が損をする」という構図は、一部では確かに存在します。
しかし、必ずしも全ての金融サービスがそうであるわけではありません。
金融機関の利益と顧客の利益が両立することも可能であり、そのためには、金融機関側の倫理観と透明性、そして利用者側の判断力が求められます。
私たち一人ひとりが主体的に選び、納得した金融サービスを利用することが、健全な金融の在り方を支えることにつながるのです。
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